ビットコインの半減期(Halving)とは、ビットコインの新規発行量が約4年ごとに半分になるイベントのことです。この仕組みは、ビットコインのプログラムにあらかじめ組み込まれており、発行量を徐々に減少させることで、デジタル通貨としての希少価値を保つことを目的としています。
半減期の発生は、ビットコインのネットワークで約21万ブロックが生成されるたびに起こります。ビットコインが誕生した2009年には、1ブロックあたり50BTCがマイナー(取引の承認作業を行う人々)に報酬として与えられていましたが、現在はこれが大幅に減少しています。
ビットコインは、最大発行枚数が2100万枚に制限されています。この上限に達するまでの間、約4年ごとに新規発行量が半分になるように設計されています。これにより、新しいビットコインが発行されるペースが減少し、供給が抑制されます。
たとえば、これまでの半減期のスケジュールは以下の通りです:
• 2009年:1ブロックあたり50BTC(初期の報酬)
• 2012年:25BTC(最初の半減期)
• 2016年:12.5BTC(2回目の半減期)
• 2020年:6.25BTC(3回目の半減期)
• 2024年:3.125BTC(4回目の半減期)
• 2028年:1.5625BTC(5回目の半減期)
• 2032年:0.78125BTC(6回目の半減期)
• 2036年:0.390625BTC(7回目の半減期)
この仕組みにより、ビットコインの供給量は一定のペースで減少し、最終的に2140年頃に全てのビットコインが発行されるとされています。
ビットコインの半減期は、価格に大きな影響を与える要因として知られています。以下にその主な理由を解説します。
(1) 希少価値の上昇
半減期によって新規発行量が減少することで、供給が抑制されます。一方で、需要が高まり続ける場合、供給不足が生じるため、価格が上昇しやすくなります。この希少性の高まりは、金(ゴールド)と同様の価値の保存手段として注目される理由の一つです。
(2) 過去の価格上昇
過去の半減期後、ビットコインの価格は大幅に上昇してきました。
• 2012年の半減期後:約10ドルから100ドル以上に上昇。
• 2016年の半減期後:約650ドルから2017年には2万ドルに到達。
• 2020年の半減期後:約9,000ドルから2021年には最高6万ドル以上に達しました。
これらのデータから、多くの投資家が半減期を「価格上昇の前触れ」として期待しています。
(3) 投資家心理
半減期の前後は、投資家の注目が集まるため、ビットコインの取引量が増加します。「半減期後に価格が上がる」という期待が市場に広まり、実際に価格を押し上げる要因になることがあります。
半減期が必ずしも価格の上昇を保証するわけではありません。以下のリスクも考慮する必要があります。
• 短期的な価格の乱高下:投機的な取引が増えるため、価格が急激に変動する可能性があります。
• マイナーの収益減少:半減期後はマイニング報酬が減るため、一部のマイナーが採算が取れなくなり、撤退することがあります。これがネットワークの安定性に影響を与える可能性もあります。
• 市場の期待外れ:すでに「半減期後の価格上昇」が市場に織り込まれている場合、期待通りの動きが見られないこともあります。
ビットコインの半減期は、希少性を高めるための重要な仕組みであり、価格に大きな影響を与えるイベントです。過去のデータを見ると、半減期後に価格が上昇する傾向が見られますが、リスクも存在します。初心者の方は、半減期の仕組みと市場の動向をよく理解した上で、冷静に投資を検討することが大切です。次回の半減期(2028年)は、ビットコイン市場にどのような影響を与えるのか、注目しておきましょう。